ついにオランダ視察ツアーは最終日!
今日はドルトンプラン(ダルトンプラン)を導入している中学高校の一貫校にお邪魔しました。
その名も「Dalton Lyceum Barendrecht」前回の記事 でも紹介したイエナプランスクール「Dr. schaepmanschool」と同じ地域のバレンドレヒトにあり、車でも比較的近い場所にあります。
ドルトンプランはちょうど東京でも2019年4月からドルトン東京学園という中高一貫校が調布にできるようですね。
また名古屋には河合塾が運営するドルトンスクールがあるようなので、日本でも注目の高さが伺えます。
ドルトンプランとは?オランダの教育制度もご紹介
学校の紹介に入る前にまずはドルトンプランとオランダの教育制度に関してご紹介します。
ドルトン・プランとは?
ドルトンプラン(ダルトンプラン)は1920年代にアメリカのマサチューセッツ州のドルトンの小学校においてヘレン・パーカーストにより指導・実施された教育指導法である。クラスの人数が多くとも児童一人一人の能力を伸ばす目的で考案された。中心になるのは自由と協同という考えである。
自由と協働が中心とのことで、生徒は、教師と自分の立てた学習計画を元に一種の契約をする。1ヵ月間にどの科目をどこまで学習を進めるかという契約で、コントラクト (Contract) と呼ぶ。
他のオルタナティブ系の学校同様、集団授業ではなく子どもが持つ個別の能力にフォーカスした教育メソッド。
子ども自身が学習計画を立てる必要があることから、低学年より、ある程度自己管理ができるようになった中学高校生くらいの年齢にとくに有効なメソッドのようです。
教師と生徒との関係を「契約」と呼ぶのはなかなか独特ですね。
オランダの中学高校の学校制度に関して
まずはオランダの義務教育は4歳からはじまります。
よって日本より2年長い11年間が義務教育で16歳以上は部分的義務教育で最低でも週2日は教育を受けなければいけないようです。
4歳から日本の小学校6年生までの8年間をK−12、 basisschool(英: “basic school”)と呼びます。
そしてそれを卒業すると3つの学校にわかれます。
学生は
VMBO(職業的中等学校):4年制
HAVO(高等一般教育):5年制
VWO(大学準備中等教育):6年制
から選ぶことができるのですが
その選択基準はK-12の卒業前にCITOと呼ばれる国立の教育機関が実施する共通テストを受験し
そのテストの結果と生徒の希望を元に受け入れ側の学校と相談して進路が決まるそうです。
もちろん一番難易度が高いのがVWO名前の通り大学に進む準備のための学校になるので、卒業後は大学を目指す人が多いそうです。
ここまではドイツも似ていますが、オランダの面白いのは
この大学準備のためのVWOも3種類に分かれており
ギリシャ語とラテン語がを学ぶか、必修か、選択制かでわかれます。
ドイツ語と同じギムナジウムと呼ばれる学校は、オランダでは大学準備でかつギリシャ語とラテン語が必修の学校になります。
お隣の国なのに、微妙に違うのが面白い。
日本と比べると小学校卒業時点で進路が大きく3つにわかれるので、なかなか早くに自分の将来を考えなければいけません。
しかしオランダのすごい所はVMBO、HAVO、VWO間も途中で変えることが可能ということ。
例えば小学生の頃は勉強があまり好きではない子どもが卒業時点の成績からHMBO(職業的中等学校)に入ったが
途中でやる気スイッチが入り「もっと勉強したい!」と思えば途中からVWO(大学準備中等学校)の学校に変えることも可能ですし
かなり頻繁にあるそうです。
もちろんそのための成績もある程度必要ですが、そこは学校側と相談の上本人のやる気が非常に重要になってきます。
とくに移民の子などで最初はオランダ語ができないがために入った学校も、数年オランダ語を学び理解できるようになってから
もっとレベルの高い学校に転校することも可能ということです。
なかなか日本だと先生や友達と合わずに不登校になる生徒もいますが、オランダでは学校を変えること自体珍しくないので
仮に入った学校が合わなくても簡単に変えることが可能です。
これに関しては後ほどまた説明します。
今回訪問した「Dalton Lyceum Barendrecht」の特徴
そろそろ今回訪問した「Dalton Lyceum Barendrecht」に関してご紹介します。
この学校は公立の日本で言う中学高校生向けの学校で、先程説明したところのHAVO(高等一般教育)とVWO(大学準備中等教育)にあたります。
よって同じ敷地内でも建物が2つありHAVOの生徒とVWOの生徒一応わけられています。
とは言え、取る授業により2つの建物を行ったり来たりするためそこまで真っ二つというわけではないそうです。
そしてこの学校の面白いところはVWOのギムナジウム(ギリシャ語,ラテン語が必修)とアテネウム(ギリシャ語,ラテン語を学ばない)に加え「Technasium(テクナシウム)」と呼ばれるITやテクノロジー特化のクラスがあります。
日本と同様最近はオランダでもエンジニアやIT系の職業を目指す人向けの学校が人気なのだそう。
校舎紹介
さて今回は実際にこの学校に通っている生徒2人に学校を案内してもらいました。
写真はイメージですが、本当に2人とも落ち着いていて英語ペラペラ。
下手したら日本の大学生かと思うくらいのイケメン美女っぷりでした。
早速教室を見せてもらうことに。
ちょうどこの写真左は、学校のスペース一部を「どのようなスペースにしたら生徒が使いやすい空間になるか?」
をチームごとに提案、実際に模型を作り、プレゼンをし、一番良かったチームのデザインが採用されてできたそう。
それ以外にもオランダの市町村がクライアントになり、こどものための公園をデザインしたり
ホリデーハウスのデザインをしたり。
もちろんテクナシウムにはデザインだけではなく、配線や施工を学ぶ生徒もいるため
色んなバックグラウンドの生徒達が集まって1つのチームを作り、かなり細かい部分まで作りこむそう。
もちろん座学もあるそうですが、とくにVMBO(職業訓練)やVWOのテクナシウムでは実践と協働を実践しているのを目の当たりにしました。
それにしても私が日本の中学高校で学んでいた内容は一体何だったんだ・・・
さらに音楽室や美術室などなども見せてもらいました。
解剖なんて日本だと悲鳴やらふざける生徒も多そうですが、みんな真剣な眼差し。
実験室には先生らしき人が最低でも2人くらいいて、色んなテーブルを見て回っていました。
ICTの導入に関して
Dalton Lyceum Barendrecht では「ダルトンアワー」という授業を設けているそうで
1~3年生(日本の中学生)は週に2コマ、4~6年生(日本の高校生)は週に5コマあり
その時間はもっと学びを深めたい授業や、興味のある授業に参加ができるのだそう。
ダルトンアワーのための授業が様々な分野で用意されていて、生徒はアプリからそのクラスの定員数を見ながら出席登録を行うそう。
そしてすごいのがその出席登録は授業の割とギリギリ(何時間前だったかは忘れましたが)まで可能で
担当の先生はリアルタイムで同じシステムで今回の授業は何人来るのか把握できるそうです。
もちろんPCの貸出も自由。
校舎のいたる場所にコインロッカーのようなものがあり、コントロールパネルに生徒カードをかざすだけでPCを借りることができるそう。
下の学年は1人1台のタブレットも導入したそうです。
オランダの学生に進路の決め方を聞いてみた
今回は幸運なことにMarkとMelanieという現役の高校生と話すことができたので
オランダの学生がどのように進路を決めるのか聞いてみました。
ご家庭にもよると思いますが、オランダのご両親は割と進路に対しては寛容なよう。
オランダでは学校変えることも割と自由と聞いていたけど、ここまで気軽だったとは・・・
ここではいじめはあったとしても不登校になることはあまりないのは、これが大きな理由かもしれませんね。
ということでオランダでは唯一の中高一貫校ですが、とりあえず感想としては「大学みたい」の一言。
一応ホームベースと呼べるクラスはあるようですが、基本はほぼ毎時間授業によって教室を移動しているようで
それが大きいのかもしれません。
そしてドルトンはオルタナティブ教育とは言え中学高校生になると、あまり通常の学校と大きな違いはないのかもしれないので
オルタナティブではない通常のオランダの中学高校も見てみて比較してみたいと思いました。
またオランダの中学・高校生の将来や進路に関しての考え方も今後インタビューできると良いなと思います!
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