今回は「世界一クリエイティブな問題解決 スタンフォード式デザイン思考」という書籍を読んだので
最近はやりのワード「デザイン思考」に関して気づいた点や学校教育でどのように活かすことができるか考えてみました。
そもそもデザインって?デザイン思考って違うの?
ここ最近「デザイン思考」ってちらほら聞くようになったかと思います。
最初デザインの仕事をしている人の思考方法なのかな?ってずっと思っていたのですが
なにやら全然違うぞ・・・?ということに気が付き、色々と調べているうちにこんな本に出会いました。
実践 スタンフォード式 デザイン思考 世界一クリエイティブな問題解決 できるビジネスシリーズ
著者ジャスパー・ウさんてどんな人?
あれ、日本人じゃない?と思うかと思いますがジャスパーさんは台湾の方のようです。
後ほど出てくるスタンフォード大学の「d.school」でデザイン思考を学び、卒業後もデザイン思考のワークショップのファシリテーターとしてキャリアをスタート。その後Samsung Strategy and Innovation Centerでデザインエンジニアとして活躍し、日本では株式会社メルカリを経て現在はU-NEXTでCXOを務めている方なのだそう。
スタンフォード行く前は台湾でロボット工学やAIの研究をされていたそう。
かなりのエリートですよね。
そしてこちらの本に書かれていることを簡単にまとめると
・実際に実践!デザイン思考の具体的なアクション
・未来をよくするために、どのようにデザイン思考を活用していくか
という内容で、とくに2番目の具体的なアクションがとにかく具体的!(笑)
とりあえずデザイン思考の大枠だけを知りたいかたは第2、3章あたりは飛ばしても良いかもしれません。
(ジャスパーさん、ごめんなさい・・・)
むしろ、デザイン思考はよく知っているから、具体的に実践したいよ!とか「d.school」の授業内容詳しく知りたいよ
って方は第2,3章を読み込むと良いかもしれません。
さて本題に入ると
デザインとは?デザイナーの仕事って?
デザインって聞くとみなさんどんなことを思い浮かべますか?
ちなみに私が最近書いたこちらの記事でも「簡単にデザインができるサービス」としてCanvaを紹介していました。
しかし本書に書かれている、デザインはもっと本質的。
ジャスパーさんが定義する「デザイン」とはおしゃれなポスターを作ることでも、Webサイトに動きとかつけてかっこよくすることでもなく、「問題解決」のことを言うそうです。
そもそもここで述べるデザイン思考(Design thinking)のDesignという単語は「設計する」という意味で用いられているため、外観を整えることはその一部にしかすぎないのだそう。
つまり、商品のパッケージやホームページを見やすくすることは、そもそも「問題」、例えば使いづらい、見づらい があってはじめて「デザインする」っていうことが言えるということですね。
ただ自己満足で見た目をかっこよくするだけでは「デザインする」とは言えないということですね。
ジャスパーさんも本書で
私はデザイナーとしていつも、どんな問題を解決すれば人々の生活がよりよくなるのかを考えています。
って仰ってます。
まさにその通り。デザイン思考とは人々がもつ本当の問題を解決するための考え方(マインドセット)。
ただし注意してほしいのはあくまで思考法なので、なにか定型文とか方程式があってそれに当てはめるわけではないそう。
しっかりと枠組みを学び、自然と使えるようになることが重要です。
もう少しわかりやすくするために、本書ではかなりビジネス的な事例がたくさん出ていますが、あえてここは身の回りの生活で例えてみると・・・
例えばお子さんがお家でご飯を食べるときにお皿から口に食べ物を運ぶ間にポロポロとこぼしているとします。
それも毎日(笑)
その状況に対して「何が原因かな?テーブルをもう少し低くした方が良いかな?いやテーブルは低くできないから椅子を高くすれば良いかな?」
って考えること、それがデザイン思考になります。
そして実際に椅子の高さを変えて(下に何か敷いたりするんですかね)、お皿から口へスムーズに食べ物を運ぶことができたのであれば、それはデザインと言えるのだと思います。
逆にテーブルクロスをかけておしゃれにしたり、お花など飾って食卓を華やかにすることは、デザインとは言えないということになりますね。
(テーブルクロスなんかは別の問題解決になっているのかもしれませんが・・・)
しかもこういう身の回りの発見し、理由を考え、そして解決方法も自分なりに考え、最後は実行に移すことが自然にできるようになると、それは立派にデザイン思考を使いこなせているということなのでしょう。
もちろん身の回りのことであれば比較的簡単かもしれませんが、やはりビジネスの場になるとそう簡単には行きません。
しかし大学生もエリートビジネスマンもこぞってデザイン思考を学ぼうとする。
ここからは、スタンフォード大学「d.school」がどのようにデザイン思考を教えているかということに注目してみようかと思います。
これを知ると、たしかに自分も学びたいなと思うようになるかもしれません。
スタンフォード式 デザイン思考の学び方とは?
ここからは私がとくに興味を持った「どうやってデザイン思考を教えているのか?身につけるのか?」を解説していこうかと思います。
その前に、そもそもデザイン思考のプロセスを簡単に説明すると
共感→定義→アイデア→プロトタイプ→テスト
という5つのステップで問題を解決していくのだそう。
今回は具体的に何をしていくか、ということよりどうやって身につけるかに関してフォーカスします。
まずスタンフォード大学でも人気の「d.school」が人気の所以、それは基本的なスタンスが「Just do it(とにかくやってみる)」ということなのではないかと思います。
やはり日本の大学でも小学校でも椅子に座って、教授ないしは先生の話をノートに取って・・・というスタイルが一般的ですが
ジャスパーさんが受けた「d.school」の10週間の「デザイン思考ブートキャンプ」は3つのプロジェクトをグループごとに取り組む、ということが大きな枠組みで
最初に先生から提示されたプロジェクトは「インスタントラーメンを食べる体験をデザインする」ということだったのだそう。
テーマがかなり身近で良いですよね。
そして簡単なデザイン思考のプロセスを学んだあとに先生から言われたのが
おそらく教室にいた全員がそう思ったのかもしれません。
そう、何か教科書を与えられたわけでもなく、フレームワークや方程式があるわけでもなくいきなり実践。
その後にペアになって大学のキャンパス内にいる生徒にとにかく「インスタントラーメンを食べる体験」をインタビューする、ということが最初の授業だったそうです。
なぜインタビューからはじまったのかと言うと、デザイン思考をする上で最初のステップそれは「共感すること」
実際のユーザーに何か困ったことがないかを聞いて、それを共感することからはじまります。
その後インタビューした内容を他のクラスメートと共有。その際にブレインストーミング、その中から1つか2つインスタントラーメンを食べる際の問題を定義します。
これが第2ステップ。
問題をしぼったらその問題を解決するためのアイデアを出し合います。そこでもブレインストーミング。
これが第3ステップ
アイデアが出たらプロトタイプ作る。要はインスタントラーメンを食べる際の問題に対する具体的な解決法。
これを最後にクラスで発表し合うのだそう。
自分達が出したアイデアをクラスで共有するって少しドキドキしますよね。
「間違っていたらどうしよう」「クラスで一番しょぼかったらどうしよう・・・」などなど。
でも発表の後に先生が言ったことは
(最後のGood jobがいかにもアメリカ人らしい・・・)
もちろん実際にビジネスの場では最後にはベストな解決方法が必要になります。
しかし、授業の中ではまずは実践してみてその中から何を学んだか?ということを自分に問いかけることが重要です。
本書にも書いてある通り「d.school」では振り返りをとても大事にしており、どんな授業も必ず「実践から何を学んだか?」を発表するのだそう。
具体的にどんなことを振り返るのかも紹介されています。
・授業を受ける前に期待していたこと
・授業を通じて何が変わったか
・これから何をするか
という3つの基準を設けることもあったそう。
そして大事なことは、クラスメートがどんな発表しても否定はせずに拍手でたたえること。
改めてどんな授業でも振り返りが大事だと言うことに気付かされますね。
ちなみに上記の流れを1週間(3回の授業)でデザイン思考の最初から最後までをこなすそうです。
よって、授業がない日も基本はブレインストーミングしたりとじっくり考えることはクラスの外、授業では共有したり発表したりがメイン。
つまり準備していかないと授業に出る意味がほぼないということですね笑
そしてこれは欧米では当たり前ですが、「発言をしないのは参加していないのと同じ」と扱われてしまうそうです。
むしろ先生にあてられないのに発言もできない日本の学校で育つとここはかなりの試練かもしれませんね・・・
そしてインタビューはキャンパスの外に行くこともあるそうなのですが、立地的にスタンフォード大学がシリコンバレーの中心にあるので
街頭インタビューをしても割とみんな気さくに答えてくれるそう。
それはこの大学の強みですね。
なぜデザイン思考が必要なのか?子どものうちから身につけておきたいこと
少し順序が逆になってしまいましたが、そもそも「なぜデザイン思考が必要なのか?」を私なりに考えてみました。
この本の最後第5章「デザイン思考といまと未来」を読んでいて思ったのは
世の中にはアイデアや物で溢れている。
ということ。とくにインターネットが台頭してからは常に身の回りには情報で溢れていて、お店に行っても似たような商品が色々なメーカーから出されています。
サービスもそうです。ほとんど全てのサービスが類似したものがたくさんあって、「世界初の!」って出してもすぐに真似したものが出てくる。
資本主義なので当たり前ですが。
これだけ物や情報で溢れた時代に「本当にユーザーが欲しているものは何か?」「どこが問題でどうやって解決するか?」というマインドセットがないとどんどん淘汰されていってしまう気がします。
この自分で問題を見つけ出し、定義することはなかなかロボットにはできないことで今後さらに人間にしかできないこと。として重要視されてくると思います。
よってとくに、日本のような旧来型の詰め込み式教育を受けている子ども達にこそ早いうちからデザイン思考のようなマインドセットはもちろん
自分で定義し、発表する力が必要なのではないでしょうか。
と、いうことで最後は少し宣伝になってしまいますが現在わたしの働くそろばん教室でもデザイン思考を子ども達が鍛えるためのコースを作っています!
(ちなみに講師はプロのデザイナー&建築士の方が担当しますのでご安心ください。)
最後は個人的なメモになりますが、もしデザイン思考のワークショップを運営する側が意識すべきこと3つが本書に書かれていました。
・手を動かす機会をつくる
・チャレンジしやすい環境をつくる
ということで、以上!
最後に本にも書かれていた「d.school」のキャンパスに書かれているメッセージをご紹介させて頂き、しめます。
Nothing is mistake.There’s no win and nofail. There’s only make.
The only way to do it is to do it.
失敗はない、勝利も負けもない、あるのはただ創造だけ。
それをやることの唯一の方法はやるだけだ。
(しびれる〜!)
実践 スタンフォード式 デザイン思考 世界一クリエイティブな問題解決 できるビジネスシリーズ
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