オランダ視察ツアーも残り2日。
今回はオランダはバレンドレヒトにある「Dr. schaepmanschool」というイエナプラン校にお邪魔しました。
なんとここはテレビ アナザースカイで尾木ママこと教育評論家の尾木直樹さんが実際に訪れた学校です。
現在は3校展開しており、ベストスクールにも選ばれたことのある人気の学校。
今回はこの学校の校長先生のお話を聞き、そして次の日には実際に授業の様子を見学させてもらいました。
イエナプラン教育とは?その特徴をご紹介
イエナプランは最近日本でも少しずつ広まりつつあり、今年2019年には長野で初のイエナプランスクール「大日向小学校」が開校するとのことでニュースにもなりました。
まずはイエナプラン教育の特徴をご紹介します。
1.年齢MIX
イエナプラン教育はモンテッソーリ教育同様、異年齢の生徒を混ぜたクラス編成。
基本的には1~3年生、4~6年生のように3学年が混ざっています。
年齢を混ぜることで子ども同士の教え合いや学び合いを促し、協働や共感を生むことが目的としています。
2.対話を重要視している
イエナプラン教育では生徒と先生、そして家庭(親)の「対話」を重要視しています。
学校によって様々のようですが、朝と昼、そして帰る前の計3回「サークル対話」という円になってみんなで色々なことを話し合います。
小さい頃から自分の頭で考え、それをみんなに共有する訓練をしています。
また円になることで相手の意見を聞く練習も同時に行うそうです。
3.対話、遊び、作業(学習)、行事の4本柱
2で上述した対話に加え、外で思いっきり遊ぶ時間や机で読書や国語,算数のテキストで学習する時間もあります。
しかしチャイムはなく、時間になると子ども達はサーッと席に着いたり外に出たり自ら行動します。
4.ワールドオリエンテーション
子どもの頃から社会との接点をすごく大事にしているイエナプラン教育では、ワールドオリエンテーションと呼ばれる総合学習の時間があります。
国語、算数、理科のような教科で区切るのではなく、1つの事象に対して教科横断で色んな角度で見る活動をします。
まだまだ特徴はあるのですが、まとめると
こども一人ひとりの個性を尊重し、社会に出るための準備をする場としての学校
として成り立っている教育です。
訪問で印象的だったこと
「Dr. schaepmanschool」を見学させて頂き、とくに印象的だったことをご紹介します。
学校を見学させてもらい、まず目に入ったのは
日本では学校に入ったら下駄箱があり、靴を履きかえるのが普通ですよね?
欧米では家でもましてや学校でも靴を履き替えるという習慣はありませんし、他に訪問したオランダの学校では見かけませんでした。
なぜ「Dr. schaepmanschool」ではわざわざ教室にはいる前に履き替えるのかと言うと・・・
「教室は家族団らんの空間にしたいから」と校長先生。
クラスはまるで家に帰ったかのよう
前述した通り、生徒間や先生との対話を大事にしているイエナプラン。
教室も家のリビングルームにいるような感覚で気軽に自分の話をシェアしやすい雰囲気にするために靴を履き替えているそうです。
そして机も日本のように前に黒板があり、前に向かって生徒の机が並んでいるわけではなく
4〜6人くらいの生徒の机が向かい合った形の島がいくつかあります。
一応生徒によって決まった席があるようですが、移動も自由。
今日は少し集中して離れた場所で学習したいので、窓際に机を移動します。
というのもOKです。
生徒が自分で学習内容をプランニング
教室にはいると目に入るのが、生徒の机の上にあるファイル。
そのファイルに挟んである紙には表が書いてあり、何やら書き込まれています。
その表は何かと言うと「1週間の学習プランニング表」
表は縦5行✕横9列で構成されており、それを生徒は月〜金までに学ぶことを表に埋めていきます。
日本では国が決めた教育指導要領に沿って、学校がカリキュラムを決め、教師主導で学習を進めますが
別の記事でも書いた通り、オランダは自由と自己責任の国。
自分で自分の学ぶことを決めさせることで自己管理能力と自己責任を学びます。
イエナプランスクールではざっくりとその学年で学ばなければいけないことは決まっているだけで
実際にどこにどれくらい時間を費やすかは生徒によって異なります。
算数のかけ算が苦手な生徒はそこにたくさん時間を費やせば良いし、逆に国語が得意であればその時間を削ることだってできる。
もちろんテストはあるので、そのテストでまんべんなく良い点数を取るために「どこにどれくらい時間を費やすか?」は生徒が一番よくわかっているのが当たりまえです。
そして重要なのが表の一番右にある「リフレクション」の欄。
毎日帰る前に1日を振り返り、1日どうだったのか?明日は何をするべきか等振り返ります。
ここでしっかりとリフレクションをすることで、やりっ放しではなく「次に繋がるアクション」を生徒自信が考える練習になります。
これはまるでビジネス用語の「PDCAサイクル」に似ていますよね!?
※Plan→Do→Check→Actionのビジネスフレームワーク
イエナプランスクールは「学校は社会に出る準備をする場所」ということを常に意識しています。
よって学校でも生徒は主体的に自分がしなければいけないことを考え、実践し、振り返りから改善まで一貫して行うトレーニングを行っています。
面白いですよね?
実際に行った感想と考察
今回のツアーのメインでもあるイエナプランスクール。
2日間に渡って実際に授業中の教室の中に15分ほど滞在して、実際の授業の様子も見学させてもらいました。
そこで気がついたことは
「とにかく教室の中は静か」
ちょうど外で遊んで戻ってくるとみんなサーッと席につき、先生が何か指示を出すわけでもないのにみんな本や教科書を開き始めます。
もちろん途中で他の生徒と話す生徒もいますが小声でヒソヒソと話しています。
先生も大きな声で生徒全員に指示を出すこともありません。
その理由として1つめは「生徒が自分が何をすべきか理解しているから。」
前章でもご紹介したプランニングを自分ですることで今日はこれをしなければいけない、ということを生徒が理解しているため
先生がいちいち何をしなければいけないか指示を出す必要がないです。
そして理由2つめは「先生が大声を出す=生徒を威嚇」と考えられている。
イエナプランでは先生は大声を出すことは生徒を威嚇し、先生の権威をあらわしていると見なされ、先生達は小声で話すことが求められるそうです。
よって生徒を注意するときも遠くから名指しで生徒を注意するのではなく、近くまで隣で話かけるように「なぜだめなのか?」を説明するそうです。
もちろん集団授業ではないので、何か教えるときも小さな輪になって先生が色々と教えているのが目立ちました。
これ以外にも本当に色んなことが工夫され、子どものことを考えつくされていることにただただ驚くばかりでした。
やはり日本のように生徒がお客さん状態で先生からの指示を待つのではなく、なるべく主体的に動いてくれるのが理想ではないでしょうか?
現在わたしが働いているそろばん教室でもどうしても生徒は受け身で先生の指示があるまで待つ流れが出来上がってしまっています。
よってプランニングからリフレクションに関してはすぐに導入することができるので、少し試してみて様子を見てみたいところですね。
[…] )を導入している中学高校の一貫校にお邪魔しました。 その名も「Dalton Lyceum Barendrecht」前回の記事 でも紹介したイエナプランスクール「Dr. schaepmanschool」と同じ地域のバレンドレヒトに […]